日常のすぐそばに潜む、非日常
亜久津の血を飲んで、ようやく発作から解放されたあたしは屋上で亜久津と2人、
6限の終了を告げるチャイムを寝転がって聞いていた。
「……さっきのさ、質問の答えだけどね。YESだよ、さっき亜久津が体験した通りね」
「………殺すなりすんじゃなかったのかよ?」
そう言うと亜久津は起き上がった。
まだ寝転んでいるあたしを見据える、強い瞳。
「まさか。恩人を殺すワケないじゃない?…っていうか、その気になればあたし達は
操作できるんだよ、記憶を。」
「…………………」
「あたし達はね、特殊能力が少しあるだけで、他の人間とそうたいして変らないよ?
朝起きて、学校行って、食事して、眠る。必要に迫られた時には、血飲むけど」
「血、飲まねぇとどうなるんだ?」
………やっぱり亜久津って大物だわ。
結構サラッとディープな話してるってのに、すごく落着き払ってる。
…………こいつだったら、記憶消さなくても大丈夫………だな。
「倒れて寝込んで、最期には死んじゃう。ま、
夜魔の一族の中に今の所
そういう死に方した人はいないかな」
「
夜魔の……一族?」
「あたしらの家系をそう呼ぶの。………って言うかさ、怖くないの?亜久津。
あたし、怪物なんだよ?」
「………奇遇だな。俺もそう呼ばれてる、怪物ってな」
そう言って、亜久津は笑った。
「なぁ、お前なんで伊達眼鏡掛けてんだよ、」
そう言うと仁はあたしが掛けているセルフレームの眼鏡を見た。
「あぁこれ?少しでもボヤけて吸血発作の時に、他の人襲わないように。」
あれから2日後。
あたしと仁はなんとなくウマがあって、よくツルんでいる。
「………外せよ、ソレ。せめて俺といる時ぐらいは」
「…………いいよ?仁が血、また吸わせてくれるなら」
そう言って笑ってみせると、何故か仁はあわてた。
「なっ、てめぇまた吸う気かよ!?////」
「………なんで顔、赤くすんの?」
「なっ、なんでもねぇよ!!///」
……………まァ、楽しくなりそうだよね?